これからの目標

私は障害者になる以前、中学生の頃からの夢だった農業に携わる仕事をしていました。
この夢を持ったきっかけは小学生の頃にバケツで田植えをした際、とても小さな苗からおにぎりを作れるほどのお米を収穫した、という経験をしたことです。大学も県内唯一の園芸科に進み、作物や野菜の他、園芸療法など幅広い勉強をし、夢であった農業に携わることの出来る職場に就職をしました。
しかし、大きな出来事を境に障害者となった私は職場に復帰することにも長い時間がかかり、それまで当たり前に出来ていたことも出来なくなってしまいました。職場では障害があることを理由に任せてもらえる仕事も少なくなってきて、出来ることも取り上げられたような気持ちでした。
やがて職場に居づらくなり退職し、求職活動をしていた時に今の職場に出会いました。
この職場は同じチームの人をはじめ、支援機関の人たちも障害に対しての理解が深く、仕事もしっかりと任せてもらえています。出来なかったことは一緒に改善策を探してくれたり、手伝ってくれたりしているおかげで仕事に対する不安もあまりありません。そして、まずは色んな事に挑戦する機会をもらえて有難いと感じています。以前とは全く異なる職種、環境ですがここで働くことが出来て良かったな、と今は心から思っています。
ふとしたときにどうして私が障害者にならなくてはいけなかったのか、あのときもっとこうしていれば障害者にならずに済んだのでは、と考えることももちろんあります。でも母親をはじめとしていつも私の味方でいてくれるたくさんの人たちのおかげで毎日をなんとなく過ごすことが出来ています。
夏にきれいに稲が植えられている田んぼを見ては、長年の夢であった農業に関わる仕事に改めて就きたいと考えることもあります。ですが、この職場で色んな経験をしていくのも良いのかな、とも思っています。年を重ねてこの職場で定年を迎えること、おばあちゃんになったときにそれまでの人生を振り返って楽しかったな、と思えるように毎日を精一杯過ごすことが今の目標であり、夢でもあります。