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「障がい」をもたらす「社会的障壁」を意識せよ

世界保健機構(WHO)の定義

世界保健機構(WHO)の定義によれば

障害とは、身体の損傷、活動の制約、参加の制限が含まれる包括的な用語。

「損傷」は身体における機能もしくは構造に対するものを指し、
「活動」の制約は個人が仕事や行動を行う際に直面する困難を指し、
「参加の制限」は個人が生活する中で体験する問題である。

したがって、障害は複雑な現象であり、ある個人の肉体が持つ特徴と、
その人が生きる社会の特徴とがもたらす相互作用の反映である。

とあります。この「相互作用の反映」というところに注目する必要があります。
すなわち、「ある個人の肉体が持つ特徴」と「その人が生きる社会の特徴」の相互作用によって「障害」が決まる。
すなわち「障害」は絶対的なものではない、ということになります。

「30センチの段差」を例にとってみましょう。
普通に歩行が可能な大人にとっては、何ら抵抗なく踏みあがれる段差です。
しかし、よちよち歩きの幼児にとっては、進行を妨げる大変な「障害」になることでしょう。

「300センチ(=3m)の段差」ではどうでしょう。
地球上の大部分の人類にとって生身で克服するのにはかなり困難な「障害」となりますよね。

「肉体の特徴」と「社会の特徴」の相互作用によって「障害」が決まるとはこういうことを言います

障害者基本法(1970年制定)の定義(同法第二条)

障害者基本法(1970年制定)の定義(同法第二条)によれば

障害者とは
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害
(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により
継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

社会的障壁とは
障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような
社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

この「事物」はわかりやすいハードウェアが中心となるでしょうが、「制度」「慣行」「観念」は、見えにくいソフトウェア、すなわち、私たちのものの考え方、慣習、偏見や先入観といったものも場合によって含まれていることになります。

さらに言えば、自分以外の他者がそこにいる。その他者をどう思うか。
何かの基準で比較する、優劣をつけて評価する…。もうすでにそこにはなんらかの「観念」が働いていることになります。

ヒトは言うまでもなく「生き物」です。

生き物は古来、微小な細胞の時から、弱きものを捕食し、生存・進化してきました。
弱き者の生存領域を侵犯し、支配もしてきました。

感情を持ち、複数の個体で社会生活を営むヒトは、自分より劣ったヒトをみて、優越感に浸ったり「人の不幸は密の味」とばかりに相対的な幸福感を感じたりします。

私たちのこういった「観念その他一切のもの」が、障がいをもたらす「社会的障壁」となりうるということを今一度しっかりと認識したいものです。

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