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人の間で生きていく

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人の間で生きていく

私は視覚に障がいがあるため、外出時は常に白杖を持って行動しています。しかし、一人で杖をフリフリトントンと、歩いておりますと、ありがたいことに、「何かお手伝いすることはありますか?」と、お声かけ頂く機会も多いです。通勤ルート等、慣れている道であれば、基本的に一人でも大丈夫なのですが、寝不足や疲れている時に、駅のホームで声をかけて頂いた際は、お言葉に甘えて一緒に改札まで歩いてもらったりしています。

今年の春頃のことでした。その日は漠然と物憂い気分で、そのうえ私は花粉症持ちのため、くしゃみが止まらず、なんとなく注意散漫に過ごした一日でした。ドラッグストアで買い物して早く帰って寝ようと「ぼーっと考えつつ」杖をフリフリトントン「くしゅんくしゅん」と、一人賑やかに(しかし気分は晴れぬまま)最寄り駅のホームを歩いておりましたら、「改札まで一緒に行きましょうか?」と、女性の方に声をかけて頂きました。

心身ともに調子が良くないこともあり、一緒に歩いてもらったのですが、「さっき、めっちゃクシャミしてましたよね。花粉症ですか?いやぁ、私も今年デビューしちゃって、目とかすっっっごくかゆいですよ~。でも、薬使ったら負けかなと思って全然使ってないですけど、やっぱり使った方が良いですかねぇ?花粉症辛いですよねぇ、治らないかなぁ、治らないって言いますよね、やだなぁ……今日風強いですねっ!……ヨーグルト美味しいですよね!……」

とまあ、初対面とは思えないフレンドリーさでお話されてこられ、その自由奔放な語り口に、私は少々圧倒されまして「ほうほう」と、ともすればフクロウにも務まりそうな間抜けな相槌を打ちつつ、案内頂いておりました。でも、そのフレンドリーさが、とても自然でこちらを身構えさせることなく、すっと心に親しみをしみこませるような、すてきな雰囲気を持った方でした。

結局、なんだかんだと話しながら、駅近くのドラッグストアまで一緒に歩いて頂き、「店員さん捕まえて来ま~す」と、お店の方につないで頂くところまでお世話になりました。私は、どこに出しても恥ずかしくない(?)くらいのインドア派なのですが、こういった体験が私に、「人間として人の間に入って生きていきたい」「社会参加したい」と、思わせてくれていると、改めて感じさせてくれる出来事でした。

正直、やはり目が見えていないと不便なことも多く、落ち込むことも多々あります。駅のホームを歩く際は、常に緊張しておりますし、そのうえ、点字ブロック(駅のホームにある黄色いボツボツのことです)の上を歩いていても、(多分歩きスマフォの)人に、ぶつかられ、「チッ」と舌打ちされることもあったりします。それでも、まだ、私が元気に外を歩けるのは、先のような暖かな体験があるからです。人間の多面性に戸惑いながらも、私も誰かを暖かな気持ちに出来るような、人間に近づくべく、これからも一歩一歩踏みしめながら、杖をフリフリトントンと、歩いて行こうと思います。

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