ヘルパーの介助を受けながら在宅で働くということ

私の障害名は「脳性小児麻痺による四肢体幹機能障害」です。
足の指でPCを操作するほかは、日常生活のほぼ全てを介助者に託しています。
現時点では両親と同居していて、常時身近に誰かがいてくれる環境ですが、両親も高齢になり、私の介助をするのが徐々に難しくなってきています。
数年前からは障害福祉制度の「居宅介護支援」を利用し、起床から出勤まで・昼食・夕食後の入浴をヘルパーに依頼しています。
もうひとつ「重度訪問介護」もあり、こちらは24時間ヘルパーがつけられます。いずれも営利活動中は利用できないと定められているため、勤務中はPCトラブルでの配線の抜き差し、体位の調整、水分補給やトイレ介助など、両親が対応しています。
2023年8月に私が住んでいる地方自治体(東京都杉並区)で「重度障害者等就労支援特別事業」という制度が開始されました。この制度は、「重度訪問介護」を利用している者が対象で、営利活動中にヘルパーをつけられるというものです。
現在、我が社のワークサポートチーム(社員の健康管理を行う専門部署)や杉並区の相談支援事業所・ヘルパー事業所と相談しながら「居宅介護支援」から「重度訪問介護」に切り替える手続きを進めています。
30年以上前のことですが、アメリカのサンフランシスコにあるバークレー障害者自立センターを見学する機会がありました。センターの職員が「どんなに障害が重くてもジョブコーチがいれば働ける」と言っていました。当時の私は、日本国内でジョブコーチという言葉を聞いたこともなかったし、まさか自分が企業で働けるとは思ってなかったのですが、30年経ってITの発展、福祉制度の向上など日本もようやくそういう社会に変わってきたのだなと感慨深く思っています。
「重度訪問介護」を利用すると常にヘルパーが隣にいる環境になるので、これまでのように事前に外出予約しなくても、天気が良い日はぶらりと秋葉原などに行き、趣味である自作PCのパーツのウインドウショッピングを楽しみ、帰りには馴染みの店で食事なんてことも可能になります。自宅にこもりきりの生活は疲れるので、外出するのは何よりの楽しみです。
入社して5年の月日が経ちました。自宅の執務室からはiPadで本社オフィスの様子が見えるので、「距離も障害の有無も全く感じることなくメンバーと共に仕事をしている」と、有意義な日々を過ごしています。私は在宅で勤務している今の会社の一員として働けることを誇りに思っています。
これからもよろしくお願いいたします。