色々世界探検中

私は視覚に障がいがあるため、友人・知人と外出する際は腕を持たせてもらい、誘導してもらって歩いております。そうして歩いている時や車で移動中の時などに、見えているものについて、よく教えてもらうのですが、面白いもので一緒に歩く人によって、私に知覚される世界の有様が変わって感じられます。
同行者A「猫くん発見!日向ぼっこ中」、「猫さんたち3匹で会議中」、「パピヨンちゃんがカートに乗って移動中」(飼い主さんも一緒ですからね。念の為)とまあ、ここいらは人より動物の方が多いのでは(?)と思えるほど、犬、猫、その他動物を発見・報告頂きます。
同行者B「ハンバーグだぁおいしそうだよ」、「パン屋さん発見!メロンパンがめっちゃ良い感じ」、「冷麺だ、良いなぁ、うっわ、これ絶対美味しいよ!」と、日本の豊かな食文化を感じられる報告をたくさん頂く方もおります。
同行者C「《家の中にある物を勝手に持っていかないでください。大変困っております》って張り紙があった」(!?)
「《信号を守れぇい!!》って看板が立ってる。なんて真っすぐな願いなんだ」と、切実でメッセージ性の強い(しかしながら、なんとも名状しがたい心持ちになる)張り紙等を教えてくれる方もおりました。
こういった体験を通して、私は、「はは~ん。さながら悪い子を探すなまはげのように、人は現実の中から自分が興味のある情報を探索・認識しているのだな。
きっと、幼稚園児にとっての政治経済のように、見たり聞いたりしていても全く認識されない(記憶に留まらない)ことが、たくさんあるんだろうな。
同じ現実世界を生きていても、一人一人、それぞれの現実、独自の世界を生きていくんだね」なんてことをぼんやり思ったりするのでした。
そういえば、日本では虹を7色で表現しますが、諸外国では5色だったり6色だったり、国によって色々だとも言いますし、地域差や時代の変化によっても人々の現実認識は変わっていくでしょうから、まさに十人十色、人の数だけ現実が存在するように思われます。(その日の気分によって、面白いとも悲しいとも感じられる不思議な感覚です)
私としては、視覚障がいゆえに視線を共有できないもどかしさから、気分の落ち込む時というのも当然あるのですが、他者の目を通して世界を覗き見るといのは、面白い体験で、大変ありがたい瞬間です。
これからも、一緒にいてくれる人の目を通して、目まぐるしく変わる世界を楽しみつつ、私は私の現実世界を一歩一歩生きていこうと思います。