上手な悩み方

我が家には地域猫が立ち寄ります、その猫はもうすっかり出来上がったワイルド猫で、こちらがどんなに愛を表現しても、常に私と完璧なソーシャルディスタンスを保ちます。ふと振り向くとガラス越しにこちらをガン見していたり、あるいは全力で逃走したりするので、言いたいことがあるならちゃんと言えばいいでしょ！という気持ちになります。

でもかわいそうに、猫には言葉がないのですね。眼光の鋭さや行動から察するに感情はありそうですが、言葉を持たないから思考ってなさそうです。体験と本能をもとに行動しているから、愛でようと近づく私を敵としか認識できないその心の癖を、どうにも改善することができない様子。

この猫を見てよく思うのです。言葉があるから人は悩み、言葉があるから考えることができるのだわと。でもでも同時に思うのです、私が悩む時って体験と本能だけでボヤーっとしている時間が長い！私もこの猫と似た者同士かも！と。

中高年になってくたびれたからということを言い訳にしたくはありませんが、やはりくたびれたからでしょうか、しょっちゅう私は猫のように悩んでいます。怖いか安全かを体験と本能で判断していることが多い。思考がちょっと欠けている。それでも、もしも私が猫ならば、人に愛されることもあるかもしれませんが、私はよくいる中高年の人間なので、このままいきますと、かなりワイルドな生き方につながるリスクがありそうです。真面目に心配です。

猫はいつまでたっても、わりと可愛い。でも私はそういうわけにもいきませんので、上手に悩んで、人らしく思考することを諦めずにいようと思うこの頃です。結論が遅くなりました、上手に悩みたいなら、言葉でしっかり考える、です。そんなことは分かっていたのですけれど、1人で言葉でちゃんと思考するって、時にはハード。そんな時には誰かに話を聞いてもらうと優しさまでもらえたりしてサイコー。以上、猫に気付かされた上手な悩み方です。

ちなみに、締めにどうでも良い話ですが、そんな我が家は”ねこねこネットワークに登録されている”と、友人から聞きました。地域猫同士で都合の良い人間のいる家を情報交換するらしいです。”本当の話なんだから！”と友人から真顔で言われたものですから、私はそれを信じることにしました。そして猫に好かれる猫のような自分も居ても良いよね、などと思うこの頃です。