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私とPCのおしゃべり

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私とPCのおしゃべり

 私は生まれつき視覚に障がいがあり、周囲の明るさと、目を近づければ物の色と輪郭がぼんやり分かる程度の状態で生活しています。そのため仕事で使うパソコンにはスクリーンリーダーと呼ばれるソフトをインストールして業務を行っています。

このソフト、簡単に言いますとインストールしたパソコンが、ものすごいおしゃべりになるというものでして、まあ、おしゃべりになると申しましても、「おはよう!今日も一日頑張っていきましょう。先ずは、メールチェックいっとこっか。え?Excel早く起動しろって?ああ、はいはい……」といった感じにしゃべるわけではないですよ(念の為)。

 昨今のAIの進化を聞き及んでおりますと、こんなフレンドリーにおしゃべりするパソコンの登場もあり得そうではありますが……。実際は、こちらのキー操作を音声でフィードバックしてくれるソフトということです。入力した文字を声に出してくれるのはもちろん、漢字変換時も変換後の文字を説明してくれます。「わたし」→「私」の場合、「私立のし、わたくし」といった具合です。(ありがたや)

この文章も音声ソフトを利用して書き上げております。また、業務ではよくExcelを活用するのですが、こちらも非常に頼りになります。B24のセルに「2023年4月7日」と入っている場合、カーソルを合わせると「ビーニジュウヨン ニセンニジュウサンネン シガツ ナノカ 表示形式日付背景色ラベンダー 中央揃え」などなど、表示されている内容以外にもセルに設定された情報を教えてくれます。ひとセルずつ確認していくので、どうしても時間を費やしてしまいますが、それでも、視覚障がいがあってもExcelを操作できることで、業務の幅を広げてくれ、「すごいことだ、ありがたいことだ、がんばろう!」と感じております。

初回のExcelファイルを開く時は、まず全体像を把握する為、カーソルを文字通り縦横無尽に走らせて、レイアウトをざっくり確認するのですが、その際、「何か入力されているセルにぶつかる迄移動してください」とお願いして、カーソルをシュンシュン動かします。ただ、何もない行や列でそれをすると、カーソルがA列から一気にXFD列まで飛んだりしちゃって……。ペンギンが氷の上を移動する際、腹ばいになってツーッと滑って移動することがあると聞いたことがあるので、そんな場面を想像しながら、「お~い、行き過ぎ!バックバック!!」と心の中で突っ込みつつ、カーソルをまたA列に戻したりしています。そして、次の行で同様にカーソルを走らせて、何か入力されているセルにぶつかったらひとセルずつ確認して……。と、地道に表を確認しております。

このように、視覚障がい者が表を確認する際は、ひとセルずつ入力内容を確認し、それらを脳内に思い浮かべて配置し、徐々に表を頭の中に完成させていく作業となるので、集中力と記憶力が必要とされますが、おかげさまでそれらの能力も鍛えることができました。特に記憶力は鍛えられたと感じており、794年に都が平安京に遷都されたことも昨日のことのように覚えております!

兎に角、エネルギーを使いはするものの、こうして今働けていることに感謝、そして日々音声ソフトを開発・更新してくださる技術者の皆様に感謝し、今後もパソコンとおしゃべりしつつ、業務に従事して参ります。

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